2020年夏の販売開始に向け、現在は「ファーストエディション」の事前予約を受け付けている「GRヤリス」(編集部註:事前予約は2020年6月30日23時59分までの予定)。
グレードは基準の「RZ」(396万円)と、走りの装備満載の「RZハイパフォーマンス」(456万円)の2構成となっており、「RZハイパフォーマンス」がその価格差60万円に見合う装備となっているのかは気になるところ。
本記事では、グレード間の装備の違いを比較、そして、RZパフォーマンスのみに搭載される注目のアイテム「トルセンLSD」の必要性について、考察していく。
文:吉川賢一/写真:TOYOTA
【画像ギャラリー】事前受付は2020年6月30日まで!! GRヤリスファーストエディションの装備研究
“RZ”と“RZパフォーマンス”の違いとは?

現在、事前予約ができるファーストエディションは、通常販売されるGRヤリスに対して、専用パーツによる差別化が図られている。
例えば、フロントグリルとサイドのディフューザー、リヤスポイラー、リヤディフューザーが、精悍なマットブラック塗装となっていること、などだ。さらに「RZハイパフォーマンス」には、以下のような専用装備がある。
<RZハイパフォーマンス専用装備一覧>
●ホイール&タイヤ BBS製鍛造(マットブラック塗装)+ ミシュランパイロットスポーツ4S ※RZはエンケイ製鋳造ホイール(ブラック塗装)+ ダンロップSPスポーツMAXX050
●前後トルセンLSD ※RZはLSDなし
●冷却スプレー機能付き大容量空冷インタークーラー ※RZは冷却スプレーなし
●前後ブレーキキャリパーのレッド塗装 ※RZはオプション
●ブレーキダクト(ブレーキに走行風を当て冷却性能を高める) ※RZはなし
●プレミアムスポーツシート(合皮とスウェードのコンビ表皮) ※RZはスポーツシート(ファブリック表皮)
●JBL8スピーカー+アクティブノイズコントロール ※RZはオプション

専用のプレミアムスポーツシートや、ホイールとミシュラン製ハイグリップタイヤ、冷却スプレー付の空冷インタークーラーなど、豪華な装備が並んでいる中で、走行駆動系に関するビッグアイテムが前後のトルセンLSDだ。
“RZパフォーマンス”だけにつくトルセンLSDとは?
トヨタによると、「より高いレベルのスポーツドライビングにも応えるため、トルセンLSDを前後に搭載した」らしいが、具体的にはどういったシーンで役立つのだろうか。
クルマがコーナーを曲がるときには、内輪と外輪の軌跡に差が発生する。外輪側の方が長い距離を回るため、外輪側の車輪の方が回転数は多くなる。この回転数の差を吸収するのが「デフ」(デファレンシャルギア=差動ギア)だ。
このデフなくして、クルマはコーナーをスムーズに曲がることはできず、仮に、デフの無い直結状態のクルマでコーナーを曲がろうとすれば、内輪もしくは外輪が引っかかるような邪魔な動きとなってしまう。
このように、クルマにとって無くてはならない装備であるデフであるが、ときに「悪さ」をすることもある。

雪道やダートのような悪路走行で片輪がスリップしたとき、もしくは、コーナリング中に縁石やギャップで片輪が宙に浮いてしまった、というとき、デフが働くことによって、スリップした側、もしくは宙に浮いている方の駆動輪に、駆動力が逃げてしまう。
こうなると、接地している駆動輪に駆動力が伝わらず、前に進めない状況となり、コーナリング速度の低下や、雪道や悪路ではスタックするなどの問題が起きてしまう。
この現象を改善してくれるのが、LSD「Limited Slip differential Gear=差動制限装置付きデフ」だ。
これによって、駆動輪の片側のタイヤがスリップしたときも、デファレンシャルギアの働きによって、タイヤが空転してクルマが動けなくなるのを防ぐことができる。
前置きが長くなったが、GRヤリスの「RZハイパフォーマンス」に搭載されている「トルセンLSD」とは、トルク感知式の差動制限装置付きデフ(torque sensing limited slip differential)の略で、JTEKTの商標登録名だ。

言葉で説明するのはとても難しいのだが、トルセンLSDは、複数のギアを組み合わせ、それらのギアの噛みあわせの抵抗とデフケースとの摩擦力を利用しているもので、強い差動制限力を発揮しながらもメンテナンスはほぼ不要なのがメリットだ。
なお構造の違いで「タイプA」、「タイプB」、「タイプC」とあり、RZハイパフォーマンスには、差動制限力の設定可能幅が広い「タイプB」が搭載される。
トルセンLSDはGRヤリスにとってどれだけ重要なの?
トルセンLSDは、サーキットやダートのようなシーンを走行するような方には、ぜひ欲しいアイテムとなるだろう。
先述した通り、コーナリングスピード向上や、ダート走破性の向上など、走行性能のポテンシャルを向上させることができる。

トルセンLSDだけを後付けすることも不可能ではないだろうが、60万円という価格で、その他の専用アイテムも揃えられることだし、後付けするくらいなら、最初からRZハイパフォーマンスを購入されたほうがいいだろう。
しかし、そうしたスポーツ走行をする機会がほとんどない、もしくはそうした走行には興味がない方には、宝の持ち腐れとなるアイテムである。
「そこまでアグレッシブなスポーツ走行をしないよ」という方には、GRヤリスのなかで別の選択肢がある。
東京オートサロン2020で隠しダマ的に登場した「CVTのGRヤリス」を覚えているだろうか。

標準ヤリスの1.5L、NAエンジンと、「発進ギア付きCVT」のDirect-shift CVT 、そして駆動方式はFFという、おそらく軽量ボディに仕上がるこのモデルの方が、GRヤリスのプラットフォームで、程よいパワーのエンジンを合わせて味わうことができる。
おそらく価格も抑えられるだろう。ファーストエディションでは、このCVT版は登場していないが、今後、レギュラーモデルとして販売される可能性は大いにある。
まとめ
今後、競技車両のベースモデルが用意されるという情報もある。
そうなると、GRヤリスで競技志向のレーサーには、「RZハイパフォーマンス」に奢られた、豪華で立派なタイヤ&ホイールや、高級シートなども、のちのちレギュレーションに合わせたパーツへ交換することになってしまう。
そう考えると、60万円の差を払って、今すぐ「RZハイパフォーマンス」を買わなければならない理由が見当たらなくなる気もする。

ただし、リセールでは、「ファーストエディション」ならではの「プレミア価格」が付く可能性が大いにある。
いつが買い時か? は難しいところだが、少し状況を見守ってみてもいいかも知れない。

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April 29, 2020 at 09:00AM
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