JA全農は、独BASFデジタルファーミング社が開発した人工知能(AI)利用型栽培管理支援システム「ザルビオフィールドマネージャー」と、営農管理システム「Z-GIS」との連携を来年4月から開始する。
ザルビオとZ-GISとの連携
ザルビオフィールドマネージャーは、2017年に海外でサービスを開始。20年には世界15か国300万ha以上で活用されている。
各ほ場の土壌や作物の品種特性、気象情報、人工衛星からの画像などをAIが解析し、作物の生育や病害・雑草の発生を予測、最適な防除時期や収穫時期などを提案するシステム。いつ、どのような作業が必要かほ場ごとに把握できるため、効率的な栽培管理計画を作ることが可能となる。
ザルビオフィールドマネージャーには、あらかじめ作物別の病害感受性、生育ステージ別の特徴、農薬登録情報・効能・推奨散布回数などがインプットされており、生産者がほ場の位置、作物の種類、過去の輪作、直近の防除履歴などを入力すると、AIが病害虫発生予想、最適な農薬散布次期、前回の防除効果期限などを自動解析する仕組み。
これにより、海外のほ場では農薬使用量の30%削減、気象被害の25%回避、耐性菌リスクの低減などが確認されている。入力情報はビッグデータとして蓄積され、今後の解析に役立てることもできる。
一方、Z-GISはインターネット上の電子地図とエクセルのワークシートを結びつけたGIS(地理情報システム)。土地所有者や作付け品目・品種、生産履歴などほ場に関する情報管理の効率化を図る狙いで、2018年4月にリリースした。
ザルビオフィールドマネージャー
ザルビオフィールドマネージャーとの連携により、Z-GISですでに管理しているほ場ごとのデータをもとに、AIによる解析を通じた生育予測、施肥・防除、収穫適期などのアドバイスが実現する。
ザルビオフィールドマネージャーは、来春から水稲・大豆向けの導入を目指す。今年度は全国135か所での実証試験を行い、大規模生産者や公的試験場、JA、県連、全農がシステム機能を確認。システムの最大の特徴であるAIを、田植えなど日本の栽培方法に適した仕様とするため改良を進める。
ザルビオフィールドマネージャーは有償提供するが、「できるだけ使いやすい価格帯で提供したい」(JA全農)考え。JA全農はZ-GISを営農管理システムのプラットフォームと位置付け、ドローンやGPS(全地球測位システム)ナビ付トラクター、収量コンバインなどの農業機械、各種計測機器との連携も実施し、多くの生産者にグレードアップしたサービスを提供していく方針だ。
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