予算は限られている(あるいは出来る限り抑えたい)、でも失敗はしたくない。「コストパフォーマンス」という言葉にはそんな願いが込められている気がする。
決して安くはない買い物なのだから、そんな思いは至極当然。では、300万円以下で抜群のコスパを誇る国産車はどれだろう?
自動車評論家、渡辺陽一郎氏がイチオシグレードとともに5台をチョイス!!!
【画像ギャラリー】コスパで選ぶならこの5台! オススメモデルたちをイチオシグレードとともにギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年5月のものです/選出&文:渡辺陽一郎、写真:ベストカー編集部/初出:『ベストカー』 2020年6月10日号
■まずはやはりフィット&ヤリスに注目!
コスパの優れた商品の条件は、機能、デザイン、装備などに高い魅力を持たせながら、価格を割安に抑えることだ。
商品やサービスの価値は、すべて価格とのバランスで成り立つから、コスパの悪い優れた商品は存在しない。
そして軽自動車を除いた小型/普通車からコスパの優れた車種を探すと、コンパクトなクルマが中心になる。
このなかでも筆頭はフィットだ。従来型と同じく燃料タンクを前席の下に搭載して、空間効率が高い。
全長は4m以下で運転しやすく、全高も立体駐車場を使いやすい1550mm以内だが、荷室の床を低く抑えたから積載容量は大きい。
後席もミドルサイズのカローラやマツダ3よりも広く、大人4名が快適に乗車できる。現行型は前側のピラー形状を工夫して、外観も水平基調だから、視界も前後左右ともに良好だ。
ハイブリッドシステムは刷新され、エンジンは主に発電を担当して駆動は専用のモーターが行う。高効率な運転が可能で、実用燃費が向上した。加速性能に余裕があって走りも滑らかだ。
プラットフォームは先代型と共通だが、ボディやサスペンションの取り付け剛性を高めるなど改善を加え、走行安定性と乗り心地はコンパクトカーでは優れた部類に入る。
価格が割安なグレードは直列4気筒1.3Lノーマルエンジンを搭載する「ホーム」で、内装を上質に仕上げ、装備も充実させて価格は171万8200円だ。ファミリーカーとしても使える実用性を備えて買い得感も強い。
お次はヤリスだ。
後席と荷室は従来型のヴィッツと比べても狭いため、乗り替えるユーザーは注意が必要だが、前席の居住性は優れている。背もたれは腰を包む形状で快適だ。インパネなどの内装も上質に仕上げた。
そして直列3気筒1.5Lノーマルエンジンとハイブリッドを新開発している。車両重量はノーマルエンジン車なら1t前後と軽く、加速性能も活発だ。プラットフォームも新開発され、走行安定性と乗り心地がいい。
フィットは居住性や積載性も優れているのでファミリー向きだが、ヤリスは前席と走行性能を優先させたから、2名以内で乗車したり運転感覚にこだわるユーザーに向く。機能や装備と価格のバランスを考えると、1.5Lノーマルエンジンを搭載するGグレードが買い得で、価格は175万6000円だ。
■人気のSUV・ミニバンにもコスパに優れたお薦めモデルあり!
最初の2台はコンパクトカーだが、3番手はSUVのXVとした。
インプレッサスポーツがベースだから、ミドルサイズカーでは視界が優れ、後席も広くて快適だ。4名で乗車して荷物を積むスペースも充分な広さにしている。
しかも全高を1550mmに抑えながら、最低地上高は200mmを確保した。立体駐車場で使えて、重心もあまり高くならずに、悪路のデコボコを乗り越えやすい。合理的に作り込んだ。
2Lエンジンはハイブリッドシステムを使いながら価格は割安だ。買い得グレードの2.0 e-Lアイサイトは、4WDも搭載して265万1000円に抑えた。
今の2Lはハイブリッドのみだが、以前の2Lノーマルエンジンに比べると、消費税を10%に補正して価格上昇を約12万円としている。マイルドハイブリッド並みに安い。
コンパクトミニバンのシエンタもいい。シエンタは薄型燃料タンクを採用して、3列目シートの部分まで床を低く抑えた。
3列目の膝先空間は狭いが、床と座面の間隔は適度に確保したから、大人が多人数で乗車してもあまり窮屈に感じない。スライドドア部分の床面地上高は330mmだから、子どもや高齢者も乗り降りしやすい。
また、3列目シートを2列目シートの下に格納すると、スッキリと広い荷室になり、荷室床面地上高も505mmと低めだから荷物を積みやすい。このようにシエンタは、薄型燃料タンクで床を低く抑えたことにより、コンパクトミニバンでありながら、ミドルサイズに匹敵する居住性と積載性を備える。
しかも価格は割安で、1.5Lノーマルエンジンを搭載するGは205万8100円(7人乗り)だ。ヴォクシー&ノアに比べて約50万円安いので買い得感がある。
■EVのリーフは補助金を差し引けば300万円以下
最後はリーフ。
本格的な3ナンバーサイズの電気自動車で、ノーマルタイプでもリチウムイオン電池の総電力量には40kWhの余裕がある(上級のe+は62kWh)。
1回の充電で走れる距離も長く、WLTCモード走行で322km、JC08モードなら400kmに達する。動力性能にも余裕があり、通常走行の加速性能をガソリンエンジン車に当てはめると、3L前後の排気量に相当する。モーターの加速は滑らかで、エンジンがないから抜群に静かだ。
しかもSグレードは、衝突被害軽減ブレーキやサイド&カーテンエアバッグなどを標準装着して、価格は332万6400円になる。
この金額では300万円を超えるが、申請すると経済産業省によるCEV補助金が交付される。この金額は2019年度実績で42万円だ。補助金額を差し引くと290万6400円に収まり、本格的な電気自動車としては相当に買い得だ。
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June 13, 2020 at 03:00PM
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