北米の西海岸では「スーパーフード」として人々から愛されているブルーベリー。カナダのブリティッシュコロンビア州にブルーベリー農園を持つ「シルバーバレーファーム」はブルーベリー生産の最大手ファームで、日本への輸出も開始。現在、日本の冷凍ブルーベリー市場の25%を占めている。
品質に強いこだわりを持ち、事業のサステナビリティを大切にしているというレイ・ビリン社長に、ブルーベリーを取り巻く最新トレンドや日本とのビジネスについて話を聞いた。
下ごしらえ不要でシンプル 現代人にぴったり!
―― 最近の北米でのブルーベリーの消費トレンドとはどのようなものでしょうか。
レイ・ビリン社長「北米の西海岸では、人々が健康でバランスのとれたライフスタイルを求めており、ここ20年ほどでブルーベリーの消費も増えつつあります。食べ方としては、スムージーの中に入れたり、朝食のシリアルの中に入れたり、お菓子に使うなどのオーソドックスな使い方から、最近では、サラダのトッピングとして使ったり、チキンや魚に添えるブルーベリーソースにしたりも。さらには、ブルーベリービールなど飲み物も開発され、食べ方に新しい動きが出てきています」
―― ブルーベリーはカナダで、「スーパーフード」と言われているそうですね。
レイ・ビリン社長「はい。『スーパーフード』とは、通常の食べ物よりもカラフルで色が濃く、栄養素が豊富に含まれている食べ物のことを言います。ブルーベリーは、色が濃く、アントシアニンという栄養素が豊富に含まれ、抗酸化、心血管保護、認知症予防、腸内環境改善などの健康効果が期待できますので、まさに『スーパーフード』なのです。さらに、使いやすく食べやすい食材でもあります。切ったり、皮をむいたりする必要がなく、味もしっかりしているので、下ごしらえも不要です。簡単でシンプルな食べ物として、忙しい現代人のライフスタイルにぴったりの食材だと思います」
―― 現在、日本にどのくらいのブルーベリーを輸出しているのでしょうか。どこで購入できますか?
レイ・ビリン社長「8年前に日本への冷凍ブルーベリーの輸出がスタートして現在、日本の冷凍ブルーベリー市場の約4分の1を、当社のブルーベリーが占めています。商品でいえば、OHAYO乳業の『ぜいたく果実 まるごとブルーベリー&ヨーグルト』シリーズで使われているほか、生協(COOP), セブンイレブン(セブン&アイ・ホールディングス)、マルハニチロの冷凍ブルーベリーの供給元にもなっています。ほかにも、大手コンビニエンスストアチェーンや大手食品会社などにも供給していますので、日本の皆さんに食べていただける機会は増えていると思います。
冷凍技術の発達によって、リーズナブルな価格で、味も一定のブルーベリーを提供できるようになりました。完熟したものを収穫して、すぐに冷凍しているので、フレッシュ生のものを追熟させるよりも、栄養面でも優れていると言われています。私のカナダの家でも毎朝、食卓にブルーベリーが並びますが、冷凍ブルーベリーのほうを食べていますね」
カナダでは厳しい検査基準をクリアすることが最低ライン
―― シルバーバレーファームの現状を教えてください。
レイ・ビリン社長「1981年に、祖父の代に創業し、家族経営でブルーベリーとイチゴの栽培、加工、販売事業を運営しています。農場の大きさは、直営農場で212ヘクタール(東京ドームの約45倍)、契約農場もあわせると1133ヘクタール(同約240倍)にもなり、繁忙期には300人のスタッフが働いています。じつは、バンクーバー地区は世界的にも有名なブルーベリーの生産地で、世界第2位の生産規模を誇っているんです」
―― 「シルバーバレーファーム」のブルーベリーの特徴はありますか。
レイ・ビリン社長「栽培している品種は、一般的なブルーベリー農家で栽培される品種と変わりません。しかし、私たちのファームでは、味や栄養、安全面においてトップクオリティを目指しており、直営・契約を含む全ての農場で、土壌の選び方から、栽培方法や収穫時期まで、細かく管理、指導しています。
カナダ政府による厳しい農業規格と、さらに民間の機関が設定している農業規格の認定も受けています。この民間の規定には、年に3回『食品安全性』『社員の健康』『果物の品質』『環境への影響』の4項目の検査があります。安全で高品質のブルーベリーを作るには、これらの基準をクリアすることは最低ラインで、常にそれ以上の基準を満たすことが大切です」
―― 今後、日本や世界でどのような展開を予定していますか。
レイ・ビリン社長「市場環境は常に変化しています。私が常に念頭に置いているのは、『トップ品質のブルーベリーを作ること』。そして『マーケットや消費者のニーズを捉えて商品を提供すること』。作りたいものを作ることも大切ですが、相手の求めていることを知り、受け入れるということも同様に大切なことだと思っています。また、気候の変化に対応することも課題の一つです。温暖化の影響で、毎年、気候が変化し、予測が難しくなっています。年ごとに異なる天気に対応し、常に学び続けなくてはいけません。
日本では、カナダほどブルーベリーを日常的に食べるという文化が醸成されていないようです。ブルーベリーを毎日食べてもらえるよう、食べ方や健康効果を知っていただくなど、さまざまな提案をしていきたいと考えています」
(聞き手:戸川明美)
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December 16, 2019 at 06:45PM
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