今回は、過去の2回に続いて、「誰にでもできる腸活の可能性」と題して、プレバイオティクスについてもう少し詳しく見ていきたいと思います。
●食物繊維とは
食物繊維について様々な定義が出されていますが、まとめると「人が消化したり吸収したりできない食物の総体で、3つ以上の単糖が結合した炭水化物」と言えるかと思います。かつて、食物繊維は、栄養価値がなく腸を素通して排泄されるだけという、食品としてとても低い扱いだったのですが、1970年代に大腸がんの予防効果が報告されてから、人体に対する様々な効果が発見され、現在は、糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素に加えて、第6の栄養素と位置付けられる場合もあります。
●食物繊維の分類
食物繊維は、発酵性の有無、水溶性の有無、粘性によって人体に与える効果が異なりますが、一般的には水に溶けるかどうかで水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分類されることが多いようです。
【不溶性食物繊維】
水分含んで膨張し、腸壁を刺激して蠕動運動を促し、食物の通過時間を短くしてくれます。一般的に、不溶性食物繊維は、腸内細菌で分解されないことが多いのですが、一部は大腸の終わりの部位(下行結腸)で腸内細菌により分解を受けます。
不溶性食物繊維は、玄米、豆類、おから、ゴボウ、ひじき、サツマイモ、きのこ類などに数多く含まれています。
【水溶性食物繊維】
水を含んでゲル状になって腸壁に付着しやすく、多くは小腸の終わりから大腸の始めの部位(回腸から上行結腸)で腸内細菌により分解を受けます。
このうち、粘性の高い食物繊維には、大麦や燕麦に含まれるβグルカン、リンゴなどに含まれるペクチンなどがあり、これらは血糖値の急激な上昇を抑えたり、大腸がんの原因になる胆汁酸と結合するなどの働きがあります。
粘性の低い食物繊維は、特に腸内細菌により分解を受けやすく、イヌリン(このタイプには、アスパラガス、ニンニク、玉ねぎ、長ネギ、ニラ、小麦、バナナなどがあります)、レジスタントスターチ(いんげん豆、小豆、とうもろこし、さつまいも、長いも、じゃがいも、玄米、白米などがあります)、人工的に作られたデキストリンやポリデキストローズなどがあり、コレステロールを吸着したり、血糖値の急激な上昇を抑えるなどの働きが知られています。
●食物繊維とプレバイオティクスの関係について
「腸内に定着している細菌を活性化することにより、摂取した人の健康に有益な働きをする難消化性食品」であるプレバイティクスのほとんどは、腸内細菌により分解を受ける水溶性食物繊維に含まれることになりますが、その反対に、すべての食物繊維はプレバイオティクスとは限らないということになります。
●食物繊維やプレバイオティクスは善玉菌を増やすのか?
64の研究を分析した論文によると、食事から食物繊維を摂取しても便中のビフィズス菌や乳酸菌の菌数には影響を与えなかったそうですが、プレバイオティクスの中で、特に、フルクタンやガラクトオリゴ糖(母乳の成分にも含まれています)を摂取すると、便中のビフィズス菌や乳酸菌が有意に増加したと報告しています。したがって、フルクタンに分類されるイヌリン、フルクトオリゴ糖(フルクトールと結合してフルクタンになる)、ガラクトオリゴ糖などを含んだプレバイオティクスを摂取すると、腸内のビフィズス菌や乳酸菌を効率的に増やすことが期待できます。
●日本の商品について
日本の各メーカーでは、イヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖を含む商品は、ビフィズス菌や乳酸菌が一緒に含まれている健康食品として発売していることが多いです。
砂糖は1gあたり4キロカロリーのエネルギー量ですが、フルクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖は1gあたり2キロカロリーと、砂糖の半分のエネルギー量になっています。
●プレバイオティクスの摂取量と摂取期間
先の64の研究を集めた論文では、1日5g以上摂取すれば、それ以上摂取してもビフィズス菌を増やす効果に違いがなかったと報告しています。
また、日本の研究で、1日8gのフルクトオリゴ糖を成人に2週間摂取させると、4日目から便中のビフィズス菌の増加が認められ、摂取中止後8日目には、増加したビフィズス菌が減少したと報告しています。
したがって、少なくとも1日5g~8gのプレバイオティクスを摂取すると短期間で腸内のビフィズス菌を増やすことができますが、その効果を維持するには継続する必要があります。
「誰にでもできる腸活の可能性パート1」で触れたように、プロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂取する方が、単独で摂取するよりも感染症に対する免疫力の強化につながる可能性があります。
腸内細菌は、私たちの生命活動に大きな影響を与え、様々な病気の原因や予防に関与していることが近年の研究で明らかになっています。
プロバイオティクスやプレバイオティクスを使った「腸活」で、腸内細菌を心強い味方にしていきましょう!
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March 29, 2020 at 01:37PM
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